湿った山の匂いと、私の原風景

今朝、玄関を開けた瞬間、ふっと懐かしい匂いがしました。
湿った山の匂い。
空気の奥に、わずかに土と緑が混ざったような香り。

ここに越してきて半年、こんな匂いを感じたのは初めてでした。

子どものころ、私は山に育てられたような気がします。
離れた山に朝靄が見えたこと、舗装されていないごつごつした斜面を登ったこと、足元に咲く花や草に、思わず立ち止まって見惚れたこと。

あの頃の私が、今朝の匂いにふと目を覚ましたような気がしました。

「ああ、私はやっぱり山で暮らすのが合ってるかもしれない」と、再確認しました。

街から離れて不便もありますが、夜は星もきれいに見える、静かな環境です。

思えばあの頃は、疲れも知らずに駆け回って、自由に、好きなように、時間を過ごしていました。

またあんなふうに、気持ちの赴くままに、過ごせたらいいな。

あの頃の私に、今の私が少し近づいたような朝でした。
きっとこれからも、心の奥の声にそっと耳をすませながら、本当に大切なことを見つけていきたいと思います。
自分だけの人生を、ゆっくり、丁寧に。