雨の多い季節になりました。
いよいよ梅雨ですね。
じめじめ蒸し暑くて、洗濯物も乾かない、ちょっと憂鬱な季節です。
でも今日は、そんな気分をふきとばすような、きらきらした音楽をご紹介します。
ラヴェルの「水の戯れ」。
聴いたことあるでしょうか。
→こちらで聴けます(YouTubeが開きます)。
ピアノのアルペジオやグリッサンド、トリルなどがふんだんに使われていて、水のきらめきやゆらめきを音で描いているようです。
私が初めて聴いたのは、高校生のころに付いていたピアノの先生が、発表会で弾いてくれたときでした。
聴いていると、まるで噴水のように水があちこちに飛んで、楽しげに遊んでいるような情景が思い浮かびました。
とても複雑で繊細な音楽です。
こんな素敵なきれいな曲を書いたラヴェルという人はどんな人だったのか、気になります。
モーリス・ラヴェル(1875-1937)は、フランスの作曲家で、印象派音楽を代表する存在です。
スペイン北西部からフランス南西部にまたがる地域、バスク地方シブールに生まれ、幼少期にパリへ移住。7歳でピアノを始め、14歳でパリ音楽院に入学し、ガブリエル・フォーレに師事しました。
ラヴェルはピアノ曲、室内楽、オーケストラ曲、バレエ音楽など多彩なジャンルで活躍し、「ボレロ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「ダフニスとクロエ」「水の戯れ」などの名作を残しました。
特にオーケストレーションの巧みさから「オーケストラの魔術師」とも呼ばれています。
民族音楽やジャズ、スペイン音楽など多様な要素を取り入れ、独自の色彩感とリズム感を持つ作品が特徴です。
晩年は記憶障害や言語障害に悩まされ、62歳で亡くなりました。
•完璧主義と繊細さ
ラヴェルは楽譜の細部にまで徹底してこだわる完璧主義者で、私生活でも几帳面かつ神経質な面があったと伝えられています。
しかし、その一方で人への気遣いも細やかで、友人も多く、人格者として知られていました。
•寡黙で内向的な性格
社交の場を好まず、限られた友人との静かな時間を大切にしていました。
「月の光」などを作ったドビュッシーや、「ジムノペディ」などのサティといった、同時代の作曲家たちと深い友情を築き、サティの才能を広めるために演奏会を企画するなど、仲間思いな一面もありました。
•子ども好きでユーモアも
結婚せず子どももいませんでしたが、友人の子どもたちのいい遊び相手となり、物語を聞かせたり、クリスマスにはたくさんのプレゼントを贈ったりしていたという、温かいエピソードも残っています。
•戦争と家族への献身
第一次世界大戦では年齢的に兵役免除の立場にもかかわらず、志願して従軍。
さらに母親の介護にも尽力し、深い家族愛を見せています。
•おしゃれで時間にルーズ
服装には非常にこだわりがあり、旅行の荷造りに時間をかけすぎて列車に乗り遅れることもあったとか。
また、教師時代は遅刻が多く、生徒とトラブルになったこともあるそうです。
ラヴェルの作品の中でも、忘れてはならない名曲が『ボレロ』です。
→こちらから聴けます(YouTubeが開きます)。
『ボレロ』は、ラヴェルが1928年に作曲したバレエ曲です。
一貫したリズムが繰り返され、聴く人を引き込む魔法のような効果を生み出しています。
2種類の旋律が繰り返されるという特徴的な構成をしています。
この独創的な手法と圧倒的な高揚感が、現代でもバレエの世界に留まらない、広く愛される音楽にしています。
私は、大学時代にラヴェルのピアノ曲を少し弾いたことがあります。
「ソナチネ」の1楽章です。
→こちら(YouTube)
「水の戯れ」のように細かな音が鳴り、メロディが物語を語っているようです。
今でもときどき思い出して弾いています。
雨の日に、ラヴェルの音楽と静かに向き合う時間を、ぜひ味わってみてください。
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