最近、ブラームス作曲の「アヴェ・マリア」を合唱しています。
とても美しく、荘厳な雰囲気を持つこの曲。
もっと豊かな響きになるよう、練習に励んでいます。
この「アヴェ・マリア」Op.12は、1858年に作曲された女声四部合唱とオルガン(のちに管弦楽)伴奏のための作品で、ブラームス初期の声楽作品のひとつです。
わずか4分ほどの小品ながら、敬虔な雰囲気と美しいハーモニーに満ちており、合唱レパートリーとして今も広く親しまれています。
多くの作曲家が手がけている「アヴェ・マリア」ですが、ブラームスの作品は、他の作曲家のものとはいくつかの点で異なります。
他の「アヴェ・マリア」との違い
• 編成の違い
ブラームスは女声合唱とオルガン/管弦楽による合唱曲。他の作曲家(シューベルト、グノー、カッチーニなど)は、独唱が中心です。
• 歌詞の違い
ブラームスはカトリックの正式な典礼文を用いています。
一方、シューベルトは元々詩に基づいた作品、グノーやカッチーニ(実はヴァヴィロフ作)は典礼文やその一部を使っています。
• 音楽スタイルの違い
ブラームスの音楽は、ロマン派の情感を持ちながらも古典的な均整を重んじ、敬虔で厳かな雰囲気が特徴。
他の作曲家は、旋律の美しさや個性的な伴奏が魅力です。
このように、ブラームスの「アヴェ・マリア」は合唱による荘厳さと宗教性の強さが際立っており、他の作品とはまた異なる魅力を持っています。
ブラームスという人物
ヨハネス・ブラームス(1833–1897)は、ドイツ・ロマン派を代表する作曲家であり、ピアニスト、指揮者でもありました。
バッハ、ベートーヴェンとともに「三大B」と称されるほど、西洋音楽史において重要な存在です。
• ハンブルク生まれ。父はコントラバス奏者。
• 幼い頃から音楽の才能を示し、若くして演奏や編曲で生計を立てながらハンガリー音楽にも触れました。
• 20歳でシューマン夫妻と出会い、クララ・シューマンとの深い絆は生涯にわたり、作品にも大きな影響を与えました。
• ベートーヴェンら古典派の伝統を大切にしながらも、ロマン派の感情表現を取り入れた誠実な音楽を追求しました。
• 完璧主義者であり、納得のいかない作品やスケッチは自ら破棄。出版前には必ず信頼する音楽家たちの意見を求め、徹底的に推敲していました。
晩年はウィーンで活躍し、「ドイツ・レクイエム」や「交響曲第1番」「ハンガリー舞曲」など、多くの名作を世に送り出しました。
ブラームスの音楽と性格
• 古典的な構成美とロマン派の情緒を併せ持つ
• 和声の豊かさと緻密な構成が魅力
• 合唱曲や室内楽、ピアノ曲に多くの傑作あり
性格は内気で控えめ。
しかし、強い美意識と妥協を許さない姿勢を持ち、自分の作品に対しても極めて厳しかったといわれています。
クララ・シューマンからは「不可解な人物」と評されたこともあるそうです。
作曲者の性格や人生を知ることで、その音楽の持つ世界観がより深く見えてきます。
「アヴェ・マリア」に込められた敬虔な響きに、少しでも近づけるように──。
そんな思いで、これからも一曲一曲を大切に歌っていきたいです。
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